ロングドライブでの山崩れを訪ねる気まま旅でした。
幸田文著「崩れ」に興味を持ち、今回はとりあげられた日本の主要山崩れの内2ヶ所を中心に訪れました。 1220㎞ロングドライブでの一人旅の一端を紹介します。
精進湖の向こう富士山の手前が大室山、気になる山でした。
9/28は今年の初冠雪の日でした。
精進口登山路から青木ヶ原樹海を通って入場、道は赤い小石混じりの細かい火山石と固まった火山岩とで成り立っている。周囲は火山岩の複雑な岩型の上に樹木が成長し根元は苔むしており道以外には危なくて入れない。
青木ヶ原樹海の一部、下は溶岩でゴツゴツで入るのは危険。
、
途中、富士風穴に出会い、覗いてみると岩壁の周辺底に岩穴ができており異様な光景、中は真っ暗。誰もおらず不気味でただ岩窟を覗くのみで終わった。
風穴の岩壁、重なり合った溶岩が幾重にも。
岩壁の底には不気味な岩穴は開いていた。
いよいよ大室山登山口に到着。樹海の道とは異なりザラザラ道で足元は少しずりおちる感じ。登山道らしきものはなく尾根部分を歩いた形跡が残り適当に歩く。少し迷い遠回りをしたが山頂(1467m)を過ぎて三角点(1447m)まで約2時間かかる。
大室山三角点地点、周囲は灌木と樹林に囲まれて。
大室山の印象としては高度は低いが地図や遠景では円錐形で、特に地図では山頂は火口が窪み優美に見えるのだが実際はザラ場で樹木に囲まれ火口の痕跡すら見通せない山で想像とは全く違った山だった。登ってみてわかったがあまり人気のない山らしく、大室山とは見る山で登る山ではないことがよく判った。
山頂部や三角点からの見通しは樹木に覆われ全くないが三角点から少し進むと富士山頂が見渡せる展望台があり、山頂を極めた甲斐はあったと留飲する。
灌木をかき分けると富士山が現れた。
凹凸の少ないほぼ平行な樹林帯が続く。
最初の開けた展望台では前面に南アルプス全体(光岳~鳳凰三山)が雲海の上に広がる様は見事だった。山名の入った岩盤と睨めっこで山名を確認する。
左から上河内岳・聖岳・赤石岳・荒川岳と。左右には南ア連峰が続いています。
滑沢で一服、振り向くと山頂が見える。
最初の荒れた沢、滑沢が出てくるが一見危なそうだが、よく観察するとルートが確認できさほど危険を感じることなく通過できた。
次の沢、仏石流を渡り、下方を眺める。
以降、樹林帯のほぼ水平道と沢の通過を数回繰り返し、最後はかなりの坂を下って樹林帯の中の大沢休泊所に着く。
大沢休泊所、今は工事関係者の宿舎に使われている。
が、周りは霧の中。少し下って展望台があるらしいのだが霧は晴れず大沢崩れの形跡すらわからずあきらめて休泊所に戻る。
大沢休泊所の下は濃霧で崩れの一端も見えず。
諦めきれないので探すと休泊所裏奥宮の後ろに階段があり、登るとさらに上への踏み跡を見つけ分け入ると幸いにも霧が晴れ、前方に大沢崩れが開ける。すごい迫力で息をのむ。
大沢休憩所上の急斜面の向こうに崩れが現れる。
左上が山頂部、手前ガレ場の向こうに谷底があるが、ここからは見えない。
上には樹林帯が残り、垂直に近い崩れ跡の斜面には幾重にも溶岩流の層が残る。
視界下の急峻な崩れ部分、とても立ち入る余地はない。
昼食をとり眺めを楽しむ。岩が崩れ落ちる音がときたま聞こえる。展望地からは谷底は見えないので眼で見ることはできないがゴロゴロという音は不気味であり、上部の砂煙りらしきものと相まって大沢崩れの異様さを肌で感じた。
帰り、登坂をこなし水平道に入った場所で二人組の登山者に出会い情報交換する。今日は山菜取り(キノコは豊富で松茸もたまに見つかるという)の二人組と計4人に出会ったのみ。
順調に戻り奥庭荘に投宿。 食後、奥庭展望台まで周回コースを歩くが夕方の赤富士も雄大かつ優美で印象的だった。
奥庭展望台からの赤富士、山頂から一連の寄生火山が肉眼で見られた。
● 9/30(水)~10/2(金)稗田山(ひえだやま)の山崩れ
富士山から移動しながら南小谷へ向かう。稗田山・山崩れを観望する予定だったが、あいにくの天候で山頂部の崩れが見られず3日間滞在の破目になった。副産物としては余分な時間を費やして姫川周辺のドライブを楽しむことができたが、、、、
稗田山展望地へは姫川に平行して走る国道148号の中土付近で西から合流する浦川の右岸に沿って舗装林道を遡る。約30分で行き止まりでもある展望地の金谷橋に到着する。
この道は砂防工事のダンプカーが頻繁に行き交う要注意の道、3日間この道を往復する。
浦川下流から山頂部の崩れが見える。崩れは左方向に広がる。(画面外)
最終日は快晴となり目的の赤倉山から稗田山にかけての山崩れの全貌もやっと見学でき大満足だった。 地元の小谷ものがたりによれば、天気の続いた夜中に突然長さ約8km・高さ河床から約300m・ほぼ1kmの厚さですべりおち土石流となって浦川を埋め下の姫川をもせき止めたと。そのため姫川に堆積した土砂は長さ2km・高さ65mにも及び大きな湖ができ村々は流され水没し23名の犠牲者が出たとある。 工事現場の責任者は規模の表現がかなり誇張されているというが、107年前の崩れが今も止まらず工事は延々と続くのではと語ってくれた。
展望地の金谷橋からの上流風景、下では無人機械での工事が進められている。
最上部、赤倉山直下の山崩れ、崩れは左・稗田山へと続く。
赤倉山上部の崩れ拡大写真・稗田山は左へと続く。
稗田山・山崩れの一部 実幅ははるかに大きい。
金谷橋から下方を眺める。中央奥に雨飾山が見える。
最終日は毎年行われる地元・小谷小学生の見学会があり、工事を請け負う大町市の傳刀組(でんとうくみ)の関係者も多数参加していた。説明会後も小学生たちは順次ロボット運転の大型キャタビラ・シャベルカーの運転体験も指導付でさせてもらい大はしゃぎで素晴らしい体験だったと思う。最後、試行を促され我もと体験させてもらったが両手で行う操作は意外と難しく短時間での操作は無理無理と音を上げる破目に。コンピュータゲームに慣れた若者には熟達は早かろうが、、、。
砂防工事現場で熱心に説明を聞く小学生たち。
ロボット操縦の貴重な体験をする。左はシャベルカー、右はダンプカー。
なお、この流域上部では土石流が今でも頻繁に発生するため無人運転の土木機械が多数使用されており、土石流監視所もありサイレンで一斉退避のシステムも出来ていた。
勝手気ままな5日間の山兼ドライブの一人旅でした。これもいいなと改めて認識する旅でもありました。
By しばちゃん
- 9/28(月)晴 大室山
精進湖の向こう富士山の手前が大室山、気になる山でした。
9/28は今年の初冠雪の日でした。
精進口登山路から青木ヶ原樹海を通って入場、道は赤い小石混じりの細かい火山石と固まった火山岩とで成り立っている。周囲は火山岩の複雑な岩型の上に樹木が成長し根元は苔むしており道以外には危なくて入れない。
青木ヶ原樹海の一部、下は溶岩でゴツゴツで入るのは危険。
、
途中、富士風穴に出会い、覗いてみると岩壁の周辺底に岩穴ができており異様な光景、中は真っ暗。誰もおらず不気味でただ岩窟を覗くのみで終わった。
風穴の岩壁、重なり合った溶岩が幾重にも。
岩壁の底には不気味な岩穴は開いていた。
いよいよ大室山登山口に到着。樹海の道とは異なりザラザラ道で足元は少しずりおちる感じ。登山道らしきものはなく尾根部分を歩いた形跡が残り適当に歩く。少し迷い遠回りをしたが山頂(1467m)を過ぎて三角点(1447m)まで約2時間かかる。
大室山三角点地点、周囲は灌木と樹林に囲まれて。
大室山の印象としては高度は低いが地図や遠景では円錐形で、特に地図では山頂は火口が窪み優美に見えるのだが実際はザラ場で樹木に囲まれ火口の痕跡すら見通せない山で想像とは全く違った山だった。登ってみてわかったがあまり人気のない山らしく、大室山とは見る山で登る山ではないことがよく判った。
山頂部や三角点からの見通しは樹木に覆われ全くないが三角点から少し進むと富士山頂が見渡せる展望台があり、山頂を極めた甲斐はあったと留飲する。
灌木をかき分けると富士山が現れた。
- 9/29(火)富士山/大沢崩れ 四合目上は快晴、下は雲海
凹凸の少ないほぼ平行な樹林帯が続く。
最初の開けた展望台では前面に南アルプス全体(光岳~鳳凰三山)が雲海の上に広がる様は見事だった。山名の入った岩盤と睨めっこで山名を確認する。
左から上河内岳・聖岳・赤石岳・荒川岳と。左右には南ア連峰が続いています。
滑沢で一服、振り向くと山頂が見える。
最初の荒れた沢、滑沢が出てくるが一見危なそうだが、よく観察するとルートが確認できさほど危険を感じることなく通過できた。
次の沢、仏石流を渡り、下方を眺める。
以降、樹林帯のほぼ水平道と沢の通過を数回繰り返し、最後はかなりの坂を下って樹林帯の中の大沢休泊所に着く。
大沢休泊所、今は工事関係者の宿舎に使われている。
が、周りは霧の中。少し下って展望台があるらしいのだが霧は晴れず大沢崩れの形跡すらわからずあきらめて休泊所に戻る。
大沢休泊所の下は濃霧で崩れの一端も見えず。
諦めきれないので探すと休泊所裏奥宮の後ろに階段があり、登るとさらに上への踏み跡を見つけ分け入ると幸いにも霧が晴れ、前方に大沢崩れが開ける。すごい迫力で息をのむ。
大沢休憩所上の急斜面の向こうに崩れが現れる。
左上が山頂部、手前ガレ場の向こうに谷底があるが、ここからは見えない。
上には樹林帯が残り、垂直に近い崩れ跡の斜面には幾重にも溶岩流の層が残る。
視界下の急峻な崩れ部分、とても立ち入る余地はない。
昼食をとり眺めを楽しむ。岩が崩れ落ちる音がときたま聞こえる。展望地からは谷底は見えないので眼で見ることはできないがゴロゴロという音は不気味であり、上部の砂煙りらしきものと相まって大沢崩れの異様さを肌で感じた。
帰り、登坂をこなし水平道に入った場所で二人組の登山者に出会い情報交換する。今日は山菜取り(キノコは豊富で松茸もたまに見つかるという)の二人組と計4人に出会ったのみ。
順調に戻り奥庭荘に投宿。 食後、奥庭展望台まで周回コースを歩くが夕方の赤富士も雄大かつ優美で印象的だった。
奥庭展望台からの赤富士、山頂から一連の寄生火山が肉眼で見られた。
● 9/30(水)~10/2(金)稗田山(ひえだやま)の山崩れ
富士山から移動しながら南小谷へ向かう。稗田山・山崩れを観望する予定だったが、あいにくの天候で山頂部の崩れが見られず3日間滞在の破目になった。副産物としては余分な時間を費やして姫川周辺のドライブを楽しむことができたが、、、、
稗田山展望地へは姫川に平行して走る国道148号の中土付近で西から合流する浦川の右岸に沿って舗装林道を遡る。約30分で行き止まりでもある展望地の金谷橋に到着する。
この道は砂防工事のダンプカーが頻繁に行き交う要注意の道、3日間この道を往復する。
浦川下流から山頂部の崩れが見える。崩れは左方向に広がる。(画面外)
最終日は快晴となり目的の赤倉山から稗田山にかけての山崩れの全貌もやっと見学でき大満足だった。 地元の小谷ものがたりによれば、天気の続いた夜中に突然長さ約8km・高さ河床から約300m・ほぼ1kmの厚さですべりおち土石流となって浦川を埋め下の姫川をもせき止めたと。そのため姫川に堆積した土砂は長さ2km・高さ65mにも及び大きな湖ができ村々は流され水没し23名の犠牲者が出たとある。 工事現場の責任者は規模の表現がかなり誇張されているというが、107年前の崩れが今も止まらず工事は延々と続くのではと語ってくれた。
展望地の金谷橋からの上流風景、下では無人機械での工事が進められている。
最上部、赤倉山直下の山崩れ、崩れは左・稗田山へと続く。
赤倉山上部の崩れ拡大写真・稗田山は左へと続く。
稗田山・山崩れの一部 実幅ははるかに大きい。
金谷橋から下方を眺める。中央奥に雨飾山が見える。
最終日は毎年行われる地元・小谷小学生の見学会があり、工事を請け負う大町市の傳刀組(でんとうくみ)の関係者も多数参加していた。説明会後も小学生たちは順次ロボット運転の大型キャタビラ・シャベルカーの運転体験も指導付でさせてもらい大はしゃぎで素晴らしい体験だったと思う。最後、試行を促され我もと体験させてもらったが両手で行う操作は意外と難しく短時間での操作は無理無理と音を上げる破目に。コンピュータゲームに慣れた若者には熟達は早かろうが、、、。
砂防工事現場で熱心に説明を聞く小学生たち。
ロボット操縦の貴重な体験をする。左はシャベルカー、右はダンプカー。
なお、この流域上部では土石流が今でも頻繁に発生するため無人運転の土木機械が多数使用されており、土石流監視所もありサイレンで一斉退避のシステムも出来ていた。
勝手気ままな5日間の山兼ドライブの一人旅でした。これもいいなと改めて認識する旅でもありました。
By しばちゃん