野呂川源流近くの両俣小屋を再訪して野呂川越えから仙塩尾根(通称:馬鹿尾根)を登り間ノ岳・北岳間の3000m級長大尾根をのんびりと歩いてきました。
1日目 9/29(土) 晴 参加者4人
草津IC 4:10⇒(マイカー)⇒伊那IC⇒(マイカー)⇒高遠⇒(マイカー)⇒7:30戸台(仙流荘)8:05
⇒(バス)⇒8:45北沢峠9:45⇒(バス)⇒9:55野呂川出合10:05→(野呂川沿林道歩き)
→13:00両俣小屋(泊) 歩行時間 2時間30分
戸台発8:05の専用バスに乗るためマイカーで自宅を3時半出発。 参加者をピックアップし戸台へは少し早めに着くが駐車場は既に満杯状態。戸台からの専用バスは登山客が多いため3台連ねて出発。
北沢峠に着くと大半が仙丈岳、甲斐駒を目指すらしく広河原行の乗換バスは1台のみ。それも野呂川出合で下車したのは我々4人のみ。 両俣小屋コースはマイナーコースのようで多分空いているだろうと予想するが結果はとんでもない楽しい結果が待ち受けていた。
天気は良好、広河原行の接続バスは今日は1台のみなので早く着きすぎ。時間はたっぷりあるのでゆっくり支度し野呂川林道を両俣小屋へと歩き始める。 小屋は北岳を挟んで広河原の反対側、野呂川は北岳を巻くように流れる。河魚のイワナは日本に4種いるらしいが野呂川源流はヤマトイワナの宝庫だという。
林道沿いには秋花のフジアザミ・ヨツバヒヨドリ・ヤマハハハコなどで一杯。眼を楽しませてくれる。
途中、右側に仙丈ヶ岳や大カールもはるか彼方に聳え立つ。左には急峻な北岳の支尾根が目立つ。
野呂川林道からはるか先に仙丈ヶ岳を見る。
半分の行程を過ぎた頃、写真の案内板「両俣小屋まで43分17秒」とある。ほかにも「あと1km,普通で15min, 遅くて30min」と。 小屋管理人のユーモアがあふれている。ついつい早足になるが16~17minかかってしまった。
小屋に近づくにつれイワナ釣人がポツポツ現れ釣糸を垂れている。
小屋手前のキャンプ場には15張ほど、いずれも一人テント。 なんで???
小屋にチェックイン、初めて気が付いたが、ここは登山者よりもはるかに釣り人の常連客(山登りも兼ね)が多いという。しかも来週から禁漁期間となるので今週は今年最後のチャンスとして釣り人が多いという。
3年前、来た折は管理人(星美知子さん)一人と猫3匹だったのに今日は大忙し、話を聞きに来たのにその暇もない。応援者と釣り人ボランテァが手助けしている。
が、代わりにコタツを囲んで釣り人や仙台からの遠来登山客と団欒、異種の話で盛り上がる。
特に印象に残った話は、この地区のイワナはキャッチ・アンド・リリースで一切食してはいけないルールになっているとのこと、そこで釣りの趣味のない吾輩が「こんな山奥まで来てキャッチ・アンド・リリースでなにが面白いかと」やんわり尋ねたら、返ってきた答えは「登山者が高山で美しい花を見たとき、摘んできますか?」だった。一本やられた、参ったなぁ~。
本当は1982年8月、台風10号で南アルプス一帯も大被害を受け、その中で両俣小屋での41人脱出ドラマは壮絶だったらしく、その中心人物である管理人・星さんから話を聞きたくて来たのに・・・。
その話を翌朝出発前に話すと「41人の嵐」桂木優著(本名:星美知子 185頁)があるといい一冊戴く。 今、帰宅して読んでいるが、山奥での被害は想像を絶するものがある。興味ある方には順番にお貸しするので連絡ください
管理人:星美知子さんと著書
2日目 9/10(日) 晴れ霧
両俣小屋5:05→6:00野呂川越6:15→10:05三峰岳10:20→11:20間ノ岳12:35→
14:00中白根山14:10→14:40北岳山荘(泊)
歩行時間 7時間40分
昨夜の釣り人の話では今日のコースは小屋(2000m)から三峰岳(ミブタケ・2999m)を通って間ノ岳(3190m)までが勝負という。小屋を4時半朝食で出発、まだ暗い、川沿いにしばらく歩き急登が始まる、前回はここを下っているので記憶があるが大樹に囲まれた森林帯で段差の大きい急坂だ。
野呂川越への登りはじめ、深い樹林帯から始まる。
しばらくして明るくなるが、やけに大汗をかき苦しい息づかい、体調が悪いのか年齢ゆえか、半分半分にしておこう。野呂川越には予定通り着いたが、どうも本調子でないと嫌な予感。
仙塩尾根は別名、馬鹿尾根ともいうらしいが野呂川越から三峰岳まで高度差700m強、その2/3は深い樹林帯、キノコ類があちこち顔を出しコケ類もびっしりで美しいのだが鑑賞する余裕はない。
登るにつれ疲労が激しく、遂に樹林帯を抜けるころバテ状態。だが連れの女性軍は余裕がある。
荷物を持ってくれるとの言葉にツイツイ魅力を感じる体たらく。やっと三峰岳分岐に着くが3時間の行程が3時間50分を要す。馬鹿尾根とはよく言ったもの、ほんまに馬鹿みたいな尾根やなぁとつくづく思う。どうりですれ違った単独行男性登山者は4~5人のみ。女性は我々グループのみ。
三峰岳分岐尾根筋に到着。 正面が北岳、右は間ノ岳への尾根筋
山頂までは高さ30m程だが、女性軍に山頂に登ってもらって、こちらは少し休むことにした。
三峰岳から仙丈ヶ岳を見る。左手前の連なる尾根が馬鹿尾根。右奥は甲斐駒ヶ岳
左:間ノ岳から尾根伝いに農鳥岳へと。鞍部に農鳥小屋がある
間ノ岳への尾根から振り返って三峰岳2999mを眺める。
間ノ岳への尾根筋で。ガレ場を越えて間ノ岳30190mへ。
間ノ岳への尾根から見た中央・塩見岳3047m。右手前は三峰岳から延びる尾根。
これがよかったのか間ノ岳までは尾根道の解放感もあり、さほど遅れることもなく間ノ岳山頂を踏む。緩やかな山頂は天候にも恵まれ、のんびりと昼食・散策タイムで景観を楽しむ。
体調も戻った感じで助かる。
間ノ岳山頂にて記念写真。バックは北岳3192m。
間ノ岳から北岳山荘までは3000m級の尾根散策道、周囲の山容を楽しみながらゆっくりと。特に登ってきた馬鹿尾根は進行方向左側に黒々と長~く延々と延びている。
手前、黒い尾根が馬鹿尾根。馬鹿馬鹿しい。
中白根山3055mから北岳方面。尾根鞍部に北岳山荘がある。
北岳山荘から夕方の北岳3192mを。
3日目 9/11(月) 霧/曇
北岳山荘4:40→6:00北岳6:15→6:45肩ノ小屋7:00→小太郎山分岐→
(草すべり)→9:20白根御池小屋9:45→二俣分岐→11:45広河原12:30
⇒(バス)⇒12:55北沢峠13:10⇒(バス)⇒14:00戸台⇒(マイカー)⇒
高遠・さくらの湯15:30⇒(マイカー)⇒15:50伊那IC⇒(マイカー)⇒18:50竜王IC
歩行時間 5時間40分
今日、広河原からのバスは12:30発の一本しかない。よって朝食は弁当とし、早朝出発する。
北岳への中腹で日出を迎える。予報ではあまり良くなかったが昼頃までなんとか持ちそう。
北岳山頂3192m。周辺は霧の中、時折晴れるのだが・・・・。
霧の晴れた瞬間に鳳凰三山がくっきりと。
肩ノ小屋から小太郎山分岐・草すべりと快調に下る。中腹のダケカンバの林は見ごたえあり。
樹林越しには大樺沢上部に雪渓が白くまだ残っている。
白根御池周辺では黄色のハンゴンソウが今が盛りと群生している。
ハンゴンソウの群落。
白根御池小屋で休憩。 ソフトクリーム看板に魅かれてついついと。
あとは最後の長い樹林帯を下るのみ。種々の大樹が素晴らしい森を形成している。
素晴らしいコメツガの樹林帯の中を歩く。
広河原には余裕をもって下山できた。 ところが山荘前で、この山行で同じコースを歩き小屋ではいつも一緒に団欒した仙台のTさんが先に下山し待って迎えてくれた。縁とは有り難いものだ。
祈念写真を一緒に撮り、バスで北沢峠経由戸台までご一緒し、お互いの健康を祈りお別れした。
Tさんとの記念写真
最後に今回の山行でお目にかかった高山花を紹介しましょう。(クリックで拡大版へ)
帰り、高遠温泉「さくらの湯」で入浴、なんと入浴料が今年から600円が500円に値下げされていた。 今時値下げとは珍しい。
あとは駒ケ根SAで遅い昼食をとり、無事帰省。 今回も無事の山行でよかった、よかった。
後記:天候を考え我々は予定を一日早めての山行で正解だったが、下山日(11日)は月曜日にもかかわらずかなりの登山者が登って行った。 下山後、ヤマテンの天気予報を見ると明日(12日)の北岳予報は12:00時点で暴風雨(特に風速は24m/s)とある。 山中の登山者の安全を祈るしかない。
By しばちゃん