大峯奥駈道南部(前鬼~熊野本宮大社)|個人山行ブログ|山行ブログ|湖南岳友会のホームページ

大峯奥駈道南部(前鬼~熊野本宮大社)

個人山行ブログ
4日間かけて、大峯奥駈南部を前鬼から熊野本宮大社まで歩きました。天候に恵まれまれて、シャクナゲ、シロヤシオ、アカヤシオも見ごろでしたが、登山を楽しむというより、修行に近い所もありました。
大峯奥駈道(吉野~熊野本宮大社)の北部はこれまで何回かに分けて歩きましたが、南部は今回が初めてです。

1日目(5月21日(土))前鬼口~前鬼小仲坊  晴
早朝に大津の自宅を出発、JR、近鉄を乗り継いで大和上市へ。前方に大台ケ原の乗り場もあり、こちらの方が賑わっていました。
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前鬼口方面は最初20人ほど乗っていましたが、すぐに10人ほどになり、大普賢登山口の和佐又も通って、2時間ほどで前鬼口に到着しました。前鬼口では登山者6人が降りました。
周囲に民家はありませんが、トイレ、自販機、休憩所がありました。
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バス停を11時頃スタートし、前鬼小仲坊まで林道を歩きます。
「前鬼不動七重滝 森林浴歩道」と案内板があったので、行ってみることにしました。急な斜面を降りると川に降り、エメラル
ドグリーンの水がきれいです。
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森林浴にしてはハードな道で、梯子あり、階段あり、ロープありで、半時間ほどかけてやっと滝の近くの展望台に到着しました。迫力はありますが、全貌が分かりません。
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林道に戻って少し行ったところに滝の展望台があり、こちらで全貌が分かります。いくつもの滝つぼが見えて、名前の由来が分かります。
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約5時間で小仲坊に到着。ここを守っている五鬼助さんは1300年前に役行者に仕えたご夫婦の子孫ということ。
現在は枚方市にお住まいで、土日のみにここに来られていますが、平日は近くの宿泊所が利用できます。
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この日の宿泊客は7人で、大阪の3人、北海道のご夫婦、埼玉の単独の方でした。
皆で楽しく話しながら食事をしました。

2日目(5月21日(月))前鬼小仲坊~行仙宿  晴
私たちの出発に合わせて、4時に朝食を用意していただきました。おかげで5時前に出発。
吉野から歩いてこられた埼玉県のKさんが同じ方向に向かわれるので、一緒に歩くことにしました。
所々分かりにくいところを700m登って、太古の辻に到着。
全コースを通して標識は思っていたより多くあって整備されています。何種類もあります。IMG_2041.JPG
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シロヤシオ、アカヤシオ、シャクナゲが見ごろでした。
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太古の辻という名前から、もっと鬱蒼とした稜線かと思っていましたが、ずいぶん明るい尾根が続きます。
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シロとアカの競演です。
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新緑もきれいです。
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ブナの立派な木もあります。
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ロープのある岩場も出てきます。
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持経宿です。
これから行く平治宿、行仙宿も含めて「新宮山彦ぐるーぷ」が建設し、維持管理しています。登山道や水場の整備などもこれらの団体が行っておられるようで、こうした団体のおかげで、奥駈南部を歩くことが可能になりました。とてもきれいで、布団もありましたが、まだ時間的に速いのでパスします。
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ここは水場が近く、また平坦な道で行けるので、水の補給をしました。ホースから勢いよく水が出ていて、枯れる心配は少ないようです。
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林野庁の「森の巨人たち百選」に選ばれた「持経千年桧」です。幹周5.3mということです。
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平治宿に14時頃に到着。ここは少し狭いですが、やはりきれいです。
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小屋には太陽光発電・バッテリーのシステムで照明があります。また、携帯の充電もできます。
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当初はここに泊まるつもりでしたが、体調、天候が良く、また何回も奥駈をされているKさんと一緒だったので、更に先の行仙宿まだ頑張ることにしました。途中で出会った10人程度の女性団体がここで泊る予定と聞いたのも、パスした理由です。

最後の行仙岳の登りと、長い下りを頑張って17時半頃に行仙宿に到着。約13時間の行程でした。
行仙宿は広くて、私たち2人だけでした。ここには水や食料が蓄えられていて、利用することは可能です。
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水場が下り10分と書いてあったので、行ってみました。梯子もあるかなりハードな道でしたが、沢の流れがたまっている所があり、枯れることは少ないように思いました。それにしても、険しい場所に梯子などをかけて、水場までの道を作られた新宮山彦グループの皆さんには感謝、感謝です。「水は命」です。

3日目(5月23日(月))行仙宿~玉置神社  晴
5時頃に出発。尾根道に朝陽がさし、今日も晴天です。
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こんな形のブナの木がありました。天城山の蛇ブナに似ています。
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道にはシロとアカの花びらがきれいです。昨日からシロヤシオ、アカヤシオが続いています。
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笠捨山から北の方が見渡せます。弥山の南の釈迦ヶ岳が目立ちます。
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笠捨山のいわれも書かれていました。
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地蔵岳付近はロープや鎖・梯子のある岩場の難路になります。こうした難路にはシャクナゲが多いようです。
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地蔵岳の下りは足場が見えない所もあって、特に緊張しました。
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安定したところになると、アカマツが現れ、松ぼっくりもたくさん落ちていました。
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これは松ぼっくりを食べたリスの食痕のようです。Kさんも、以前にリスを見たと言っていました。
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玉置山頂を経て、玉置神社に15時半頃に到着です。今日は約10時半の行程でした。
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玉置神社には大きな木がたくさんあります。これは特に立派な神代杉で、樹齢三千年と書かれていました。
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少し戻った玉置山展望台にはきれいな東屋、トイレがあり、この東屋の中にテントを張りました。水は玉置神社でいただきましたが、駐車場に自販機もあります。
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夕焼けも見られるテントサイトとしては絶好の所ですが、森のくまさんの訪問が困るので、ラジオを付けてテントの外に置いておきました。
クマ注意の標識もあちこちにあり、私たちも熊鈴を鳴らしながら歩きました。
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4日目(5月24日(火))玉置神社~熊野本宮大社  晴、うす曇り
昨日はあちこちで30℃以上の夏日だったとのこと、暑いわけです。シュラフを持っていましたが、明け方に少し使った程度です。
天気は下り坂ですが、笠捨山の方が焼けています。
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4時半にテント場を出発、玉置神社でKさんと合流しました。
最後の1000m峰の大森山です。ここからは下る一方ですが、実は細かい上り下りがたくさんあって、けっこう疲れました。
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こんな歩きにくい急な斜面が随所に現れます。
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修行場の一つの五大尊岳です。こうしたところが75か所あるそうで、お札がそなえられています。
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この六道の辻はテントが張れそうで、また、少し行ったところからよく整備された水場がありました。
当初は六道の辻にテントを張って、翌日熊野本宮大社に到着する予定でしたが、2日目に頑張ったために1日短縮できました。
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細かいアップダウンを繰り返して、ようやく熊野本宮大社の鳥居が見えました。
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ここからまっすぐ行けばすぐなのですが、道は遠回りの方向になって、しかも細かいアップダウンの繰り返し。この日は山としてあまり面白い所のないコースですが、これは登山ではなくて、修行なのだと自分に言い聞かせて、実は頭の中は今夜の温泉とビールでいっぱいでした。
そして、ようやく山から下りたところが熊野川。本来はこの橋のない所を渡るらしくて、昭文社の地図でもそれらしきラインが入っているのですが、今時そんなことをする人はほとんどいないそうです。
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ということで、またも逆方向に戻って近代的な橋を渡り、交通量の多い国道を通って、ようやくゴールの熊野本宮大社に到着しました。
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この日は下り一方で楽勝と思っていましたが、結局11時間のけっこう疲れる1日でした。
この日はバスで湯の峰温泉に行き、Kさんのなじみの民宿で宿泊。温泉と食事・ビールを楽しみました。
翌日は一般道では日本で一番長い路線バスといわれるバスを、約4時間乗ってJR五条駅へ、更に近鉄、JRを乗り継いて帰宅しました。

Kさんのおかげで、当初予定を1日短縮し、3泊4日、総行動時間約40時間、総距離約70kmでした。
出会ったのは2日目が同じ方向の2パーティ約20名、3日目は単独の方に5人ほど会いましたが、いずれも熊野本宮大社から吉野、またはその逆コースでした。Kさんの話では秋にはほとんど南部では人に出会わないそうで、ちょうどこの時期が、天候的にも一番良い季節のようです。

来年は前半の吉野から前鬼まで歩ければと思っています。
K3号

この記事へのコメント

≫ ひげ親父 | 2016年06月02日21時46分
リスの食痕の松ぼっくり。奈良公園では「エビフライ」と呼んでいます。友人の話ではリスではなく、ムササビの食痕だという事です。
≫ K3号 | 2016年06月12日21時13分
私も詳しい人に聞いてみましたが、左端と左から3番目がムササビ、左から2番目はリスではないかということです。ムササビは食べ方が荒っぽいそうですが、ネットで調べると、リスにも下手な食べ方をするのがいて、区別が難しいこともあるようでした。
違った場所で拾ったもので、両方いるのかもしれません。

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