11月3日~5日 西上州(群馬県)の山は関西からはあまり馴染みがありませんが、岩峰の面白い山が多くあり、3日間、下でテントを張って、日帰りで3つの山に登ってきました。いずれも手ごわい山で、岩尾根歩きを中心に紅葉真っ盛りの山を楽しんできました。
東京時代の山仲間U氏が誘ってくれて、西上州(上州は今の群馬県)の山に行ってきました。群馬県の山と言えば、県境近くの谷川岳や尾瀬以外は妙義山、荒船山くらいしか知っている山がありませんでしたが、U氏からは面白い山があるということを以前から聞いていました。
前日に出発し、麓でテント泊をしました。
11月3日(金・祝) 帳付山(1619m)・天丸山(1506m)
翌朝、U氏が以前所属していた松本の山岳会の6名と合流。車2台で登山口へ、林道からの入り口は少しわかりにくいですが、標識はあります。1台は下山口に回して出発。
最初は歩きやすい馬道です。昔は切り出した木材を馬で引いていたところだそうです。
馬道のコルまでは楽々ですが、ここから帳付山頂上までわずか1,200m程度でコースタイムは2時間となっています。なんでやねん、と思いながら進みましたが、すぐに納得しました。
馬道とはうって変わって歩きにくい細い尾根。
そして細い岩尾根。
せっかく登った岩尾根もその先が絶壁になっているため、元に戻る。降りる方が怖いです。
踏み跡程度の所が多く、間違って踏み入った跡もたくさんあって、行ったり来たり。
これが西上州の山ということです。昭文社の地図ではすべて実線ルートですが、いわゆる点線ルートにしてもおかしくはありません。
ようやく帳付の頂上に到着。頂上は展望がよく、浅間山が大きく見えます。
これから向かう天丸山(左)と今回は行けなかった大山(右)です。これぞ西上州という感じの山です。
頂上からは10月に登った奥秩父の山や八ヶ岳、さらには北アルプスも見えました。
帳付山とは変わった名前ですが、廃藩置県の時に木材の種類や大きさなどを記録する帳付作業が行われたところだそうです。
馬道のコルを越えて天丸山分岐から天丸山往復です。頂上直下は急な岩場になっていてロープが張られています。ここで今日唯一の登山者に出合いました。
ここも下りが大変で、固定されていたロープ以外に持参のロープをセットして、懸垂下降やフリクションノットを使って降りました。ハーネスは持って行かなかったので、肩に回す簡易ハーネスを使いました。
大山も面白そうですが、時間がなかったので天丸橋下降点からそのまま車を廻しておいた登山口へ下山。
この日は野栗キャンプ場でテント泊です。お風呂もあって、その後、M山岳会の用意してくれた手作り餃子パーティで盛り上がりました。男性陣は餃子の包み方が下手と怒られました。
11月4日(土) 立岩(1265m)・荒船山(1423m)
早朝にテントを撤収し、車で線の滝登山口へ。
荒船山は北の方から登ることが多いようですが、今回は南の立岩経由で登ります。
当初予定にはなかったのですが、なかなかチャンスがないということで、東立岩へも登りました。こちらに行く人は少ないようで、トレースが非常に薄く、ルートを探しながら行きます。
東立岩から西上州の山らしい西立岩を望みます。右奥に荒船山が見えます。ここから見る荒船山は北の方からとは異なって尖っています。
分岐まで戻り西立岩へ。頂上からは荒船山東側の稜線が続きますが、この辺は点線ルートです。
西立岩を越えるとこんな登りがありました。ロープ、鎖もなく見たところ難しそうでしたが、ここはホールド、スタンスが豊富で、快適に登れます。
西上州の岩場は滑らかなために、全体にホールド、スタンスが少なく、ロープや鎖に頼らざるを得ないところが多いようで、北アルプスの岩場よりも難しいかもしれません。
しばらく進むとようやく歩きやすい道になります。
この頃、ちょうど寒冷前線が通過していたようで、風が強くなりました。「上州のかかあ天下と空っ風」を少し味わいましたが、天候は大きく崩れませんでした。稜線の風下側では日射しもあってポカポカ陽気で、上を見上げて横になりたい気分でした。
荒船山最高峰の經塚山(1422m)に到着。ここまで今日も人に出合いませんでしたが、ここからは北の方から来られた多くの登山者に出合いました。
こから艫岩(ともいわ)に往復しました。立岩周辺とは異なって全く水平な道で、眠くなりそうでした。どんなところを歩いたかは、翌日によく分かることになります。
艫岩に着いた頃はガスで視界はほとんどありませんでしたが、この下は200mの絶壁です。
艫岩から同じ道を經塚山付近まで戻り、星尾峠から往路の西側にある谷筋を下ります。落ち葉が深く積もってルートを見つけるのが難しいでしたが、要所要所にはテープがありました。落ち葉ふかふかで膝には優しいですが、その下に岩が隠れていて、歩きにくかったです。
下山途中の威怒牟幾(いぬむき)不動です。古い行場でお堂が残っていますが、だいぶ荒れています。オーバーハングした上部から滝が落ちています。
お堂に行くと、滝を裏から見ることができます。いわゆる裏見の滝です。水量はそんなに多くありません。分かりにくいですが、左側に落ちてくる水が写っています。
線の滝登山口に下山後、松本の山岳会のメンバーと別れて、U氏と南牧村自然公園へ。ここもお風呂のある快適なテント場でした。
11月5日(日) 鹿岳(かなたけ 1015m)
今日も全く名前も知らなかった鹿岳です。昔、岩峰の上から鹿を追い落として狩猟をしたので鹿岳と呼んだということです。
もちろん今日も頂上直下は岩登りです。ここは登りやすい所ですが、梯子や、滑りやすい鎖場が続きます。
北の方に妙義山が見えます。見たとおり、とんでもないルートのようで、稜線はすべて点線ルートです。
今度は二の岳から一の岳を見ます。ナッツのような形で、下仁田からもよく分かります。
これが昨日歩いた荒船山です。左のピークが經塚山、右の垂直に落ち込んでいるところが艫岩です。この方から見ると、本当に荒海に向かう船に見えます。昨日は左の經塚山から右の船の艫(船尾)に向かって、水平なデッキを歩いたことになります。
同じ道を下山しました。鹿岩はは人気があるらしく、たくさんの人に出合いました。
帰路は下仁田で名物のネギとコンニャク、松本にも寄ってリンゴなどを買いました。
さすがに滋賀からは遠く、走行距離は1,000kmを越えました。
U氏のおすすめのとおり、これまで登ったことのないような個性豊かな西上州の山でした。
紅葉のこの時期がベストシーズンのようです。
昭文社の「西上州」の地図を見ると、地図一面に面白そうな山が点在していて、今回登った山はほんの一部です。
日本の山もバラエティに富んでいるなと改めて思いました。
K3号