2017年10月8日~9日。参加者7名
レベルアップ登山講座(滋賀県連)。今季やっと開通した黒部渓谷 下ノ廊下をテント泊山行した。
10月初めまで残雪通行整備作業が続き、やっと通れる様になったため下ノ廊下を山行できた。
両日とも快晴に恵まれ、黒部川の渓谷を適度な緊張感を持って楽しむことができた。
また、上流部は紅葉を楽しむことができ、下流部の紅葉は今後の楽しみとして残った。
滋賀県を10月7日17:30に出発し、安曇野の道の駅「ほりがね」で前泊テント泊。翌朝5:30に扇沢目指し出発。
10月8日
まずは、扇沢から7:30発のトロリーバスに乗り黒部ダムに到着。観光客の皆さんは黒部ダムに向かうが、我々は下ノ廊下を歩くため、バスの道路に沿いトンネルに入る。トンネルを抜けると黒部ダムの下に進む。
進行左手に目をやると立山が姿を現し、立山を見ながら旧日電歩道に入る。
下りきると黒部ダムの下に到着。ダムが放流する川を少々不安そうに渡る。
橋の左手には、黒部ダムが構える。幅492,高さ186mのダムから観光放水が水しぶきをあげ鳴っていた。
快晴の中、紅葉の進む旧日電歩道を進む。一部では紅葉がかなり進み、コバルトブルーの川とのコントラストが素晴らしい。
鳴沢に到着。ナメの滝と山頂では紅葉が青空に映えていた。我がパーティも元気いっぱい。
暫くすると行く手に大きな残雪が現れ、第一の難関である。ここは高巻きするため、丸木梯子、ロープ、下りの丸木梯子で回避する。かなりの高度差があった。
進むにつれ、川がかなり下に見え高度感を増していく。
そして、雪崩であろうかと思われる大きな残雪が黒部川を覆っていた。残雪の下を川が流れていた。
今度は、名所の一つである大きな岩を高巻きにする丸木梯子を登った。写真は降りている所を撮ったもので、ここもかなりの高度感があった。
そして、2つ目の残雪に出会う(黒部別山出合)。ここはロープで登り梯子で残雪に上がるともに、その上を歩いてクリアした。幸い、持参したアイゼンは使わなかった。
残雪と言っても、拳をがつんと当てると殆ど氷状態でびくともせず、痛かった!!
いよいよ歩道が狭くなり、壁際に張ってある番線(針金)とロープが頼りになってきた。ザックを岩壁に当てないように慎重に歩いた。
これぞ、黒部渓谷の情景を楽しむとともに心地よい緊張を感じながら歩いた。
歩道が更に狭くなってきた。ここでは、番線では頼りないためかロープが張ってあり、ロープにしがみつきながらクリア。できる限り下を見ないで歩道を進んだ。
十字峡手前まで来ると更に高度を増してきた。そして半月峡とS字峡も通過。
そして十字峡にかかる吊橋(東谷吊橋)を揺れながら渡る。あまりにも揺れているため渡るのが精一杯で十字峡を撮ることを忘れてしまった。他のブログを見ると、十字峡を見れるのはこの吊橋のみとのこと。
仙人谷ダムに到着し、硫黄臭がするその施設の中を通過。途中かなりの高温の中を通過。その状況を写真に撮ろうとするも、レンズが曇り断念。
仙人谷ダムを通過すると、なんと急登の始まり。日も暮れヘッドランプを点灯させ登ると下り。やっと阿曽原温泉小屋に到着(18:20)。既にテント場は満杯状態で女性用2人テントだけ2張り張れた。男性用4テンは張る所が見当たらず、小屋の軒下で一夜過ごす決意をした。その後、小屋のスタッフの人がが「小屋の床下空間」を使っても良いとのことで、雨露を遥かに凌ぎテントよりも快適に過ごせた。
10月9日
阿曽原温泉小屋の6時頃のテント場状態。昨夜はテントで足の踏み場もない状態であったが、多くの登山者は既に出発し閑散としていた。我パーティも欅平目指し出発。
折尾ノ大滝に到着、暫し休憩する。
そして、下ノ廊下の名所の一つである大太鼓を通過。ここでは一人ひとり写真撮りした。カメラのズーム限界で少々人物が小さくなりすぎた。大太鼓の出口では、岸壁をくりぬいたことが良くわかる。
そして進行方向右手に旭岳 白馬岳 白馬鑓ケ岳が姿を現す。(少々高圧電線が邪魔をする)
さらに進むと、右手に不帰嶮・唐松岳も。
展望台で、まだまだ元気な我がパーティメンバ全員。
そして、女性陣全員がそれぞれ跳ねた! ここでは、代表者を紹介する。皆さん童心に帰り活き活きしていた。
展望台から下ると欅平に到着し、2日間にわたる下ノ廊下の山行は幕を閉じた。
欅平からはトロッコ電車で宇奈月温泉までゆったりと景色を眺めながら揺られた。
<コースタイム>
・10月8日快晴
黒部ダム7:50~9:12鳴沢~12:07高巻き丸木階段~16:26十字峡~17:01仙人谷ダム~18:20阿曽原温泉小屋
・10月9日快晴
阿曽原温泉小屋5:50~7:53折尾ノ大滝~8:55大太鼓~9:45志合谷~12:07欅平
今回「下ノ廊下」は、残雪の影響で未開通であったため欅平から阿曽原温泉小屋までピストンを予定していたが、直前に開通し黒部ダムから欅平まで完歩することができた。しかも快晴の中、狭い道と岸壁の狭い道を歩行する緊張感に加え残雪を高巻きするスリルも味わうことができ、充実した山行となった。次回は紅葉シーズンに再び訪れたいと想いながら帰路に着いた。
最後に、「下ノ廊下」をより楽しむため少々調べたので記載する。
まずは、「下」について黒部湖を基点に上流が「上で、上の廊下」、下流が「下で、下ノ廊下」と呼ばれている。
そして「廊下」とは、絶壁に挟まれた深い谷を意味する。
下ノ廊下は、黒部ダムから仙人谷ダムまでが、旧日電歩道と呼ばれ、仙人谷ダムから欅平までは水平歩道と呼ばれている。
日電歩道とは、日本電力(日電)が水力発電所の建設に備え調査を行うために開削(1925年~1929年)したことから付けられた名前。今では日電の施設は関電に受け継がれ、日電は無くなり「旧日電」と呼ばれている。
水平歩道とは、欅平から仙人谷まで黒部川沿いに約13Km に渡る歩道である。
1951年関西電力(関電)が黒部川水系の日電の施設を受け継ぎ、水平歩道と日電歩道が関電の管理下に入った。
関電が黒部ダム建設を決意した際、中部山岳国立公園内である現地にダムを建設する条件として、登山者のために水平歩道とともに日電歩道を毎年整備することが厚生省より義務付けられた。以降、関電は毎年数千万円をかけ、延べ500名の人員を投じて維持・補修を行っている。
整備が終了すると検査を経て開通が関電から発表される。残雪がある程度消える初夏から整備が始まる関係上、開通するのは例年9月下旬頃である。11月に入ると凍結や積雪が始まることから1年の中で通行可能なのは秋の1~2ヶ月に限られる。残雪が多い時は整備が追いつかず開通しないことがある。
下ノ廊下は、上記の背景と多くの人々により歩行できることを感謝したい。
(写真をクリックすると拡大されます)
By もりもりJP
両日とも快晴に恵まれ、黒部川の渓谷を適度な緊張感を持って楽しむことができた。
また、上流部は紅葉を楽しむことができ、下流部の紅葉は今後の楽しみとして残った。
滋賀県を10月7日17:30に出発し、安曇野の道の駅「ほりがね」で前泊テント泊。翌朝5:30に扇沢目指し出発。
10月8日
まずは、扇沢から7:30発のトロリーバスに乗り黒部ダムに到着。観光客の皆さんは黒部ダムに向かうが、我々は下ノ廊下を歩くため、バスの道路に沿いトンネルに入る。トンネルを抜けると黒部ダムの下に進む。
進行左手に目をやると立山が姿を現し、立山を見ながら旧日電歩道に入る。
下りきると黒部ダムの下に到着。ダムが放流する川を少々不安そうに渡る。
橋の左手には、黒部ダムが構える。幅492,高さ186mのダムから観光放水が水しぶきをあげ鳴っていた。
快晴の中、紅葉の進む旧日電歩道を進む。一部では紅葉がかなり進み、コバルトブルーの川とのコントラストが素晴らしい。
鳴沢に到着。ナメの滝と山頂では紅葉が青空に映えていた。我がパーティも元気いっぱい。
暫くすると行く手に大きな残雪が現れ、第一の難関である。ここは高巻きするため、丸木梯子、ロープ、下りの丸木梯子で回避する。かなりの高度差があった。
進むにつれ、川がかなり下に見え高度感を増していく。
そして、雪崩であろうかと思われる大きな残雪が黒部川を覆っていた。残雪の下を川が流れていた。
今度は、名所の一つである大きな岩を高巻きにする丸木梯子を登った。写真は降りている所を撮ったもので、ここもかなりの高度感があった。
そして、2つ目の残雪に出会う(黒部別山出合)。ここはロープで登り梯子で残雪に上がるともに、その上を歩いてクリアした。幸い、持参したアイゼンは使わなかった。
残雪と言っても、拳をがつんと当てると殆ど氷状態でびくともせず、痛かった!!
いよいよ歩道が狭くなり、壁際に張ってある番線(針金)とロープが頼りになってきた。ザックを岩壁に当てないように慎重に歩いた。
これぞ、黒部渓谷の情景を楽しむとともに心地よい緊張を感じながら歩いた。
歩道が更に狭くなってきた。ここでは、番線では頼りないためかロープが張ってあり、ロープにしがみつきながらクリア。できる限り下を見ないで歩道を進んだ。
十字峡手前まで来ると更に高度を増してきた。そして半月峡とS字峡も通過。
そして十字峡にかかる吊橋(東谷吊橋)を揺れながら渡る。あまりにも揺れているため渡るのが精一杯で十字峡を撮ることを忘れてしまった。他のブログを見ると、十字峡を見れるのはこの吊橋のみとのこと。
仙人谷ダムに到着し、硫黄臭がするその施設の中を通過。途中かなりの高温の中を通過。その状況を写真に撮ろうとするも、レンズが曇り断念。
仙人谷ダムを通過すると、なんと急登の始まり。日も暮れヘッドランプを点灯させ登ると下り。やっと阿曽原温泉小屋に到着(18:20)。既にテント場は満杯状態で女性用2人テントだけ2張り張れた。男性用4テンは張る所が見当たらず、小屋の軒下で一夜過ごす決意をした。その後、小屋のスタッフの人がが「小屋の床下空間」を使っても良いとのことで、雨露を遥かに凌ぎテントよりも快適に過ごせた。
10月9日
阿曽原温泉小屋の6時頃のテント場状態。昨夜はテントで足の踏み場もない状態であったが、多くの登山者は既に出発し閑散としていた。我パーティも欅平目指し出発。
折尾ノ大滝に到着、暫し休憩する。
そして、下ノ廊下の名所の一つである大太鼓を通過。ここでは一人ひとり写真撮りした。カメラのズーム限界で少々人物が小さくなりすぎた。大太鼓の出口では、岸壁をくりぬいたことが良くわかる。
そして進行方向右手に旭岳 白馬岳 白馬鑓ケ岳が姿を現す。(少々高圧電線が邪魔をする)
さらに進むと、右手に不帰嶮・唐松岳も。
展望台で、まだまだ元気な我がパーティメンバ全員。
そして、女性陣全員がそれぞれ跳ねた! ここでは、代表者を紹介する。皆さん童心に帰り活き活きしていた。
展望台から下ると欅平に到着し、2日間にわたる下ノ廊下の山行は幕を閉じた。
欅平からはトロッコ電車で宇奈月温泉までゆったりと景色を眺めながら揺られた。
<コースタイム>
・10月8日快晴
黒部ダム7:50~9:12鳴沢~12:07高巻き丸木階段~16:26十字峡~17:01仙人谷ダム~18:20阿曽原温泉小屋
・10月9日快晴
阿曽原温泉小屋5:50~7:53折尾ノ大滝~8:55大太鼓~9:45志合谷~12:07欅平
今回「下ノ廊下」は、残雪の影響で未開通であったため欅平から阿曽原温泉小屋までピストンを予定していたが、直前に開通し黒部ダムから欅平まで完歩することができた。しかも快晴の中、狭い道と岸壁の狭い道を歩行する緊張感に加え残雪を高巻きするスリルも味わうことができ、充実した山行となった。次回は紅葉シーズンに再び訪れたいと想いながら帰路に着いた。
最後に、「下ノ廊下」をより楽しむため少々調べたので記載する。
まずは、「下」について黒部湖を基点に上流が「上で、上の廊下」、下流が「下で、下ノ廊下」と呼ばれている。
そして「廊下」とは、絶壁に挟まれた深い谷を意味する。
下ノ廊下は、黒部ダムから仙人谷ダムまでが、旧日電歩道と呼ばれ、仙人谷ダムから欅平までは水平歩道と呼ばれている。
日電歩道とは、日本電力(日電)が水力発電所の建設に備え調査を行うために開削(1925年~1929年)したことから付けられた名前。今では日電の施設は関電に受け継がれ、日電は無くなり「旧日電」と呼ばれている。
水平歩道とは、欅平から仙人谷まで黒部川沿いに約13Km に渡る歩道である。
1951年関西電力(関電)が黒部川水系の日電の施設を受け継ぎ、水平歩道と日電歩道が関電の管理下に入った。
関電が黒部ダム建設を決意した際、中部山岳国立公園内である現地にダムを建設する条件として、登山者のために水平歩道とともに日電歩道を毎年整備することが厚生省より義務付けられた。以降、関電は毎年数千万円をかけ、延べ500名の人員を投じて維持・補修を行っている。
整備が終了すると検査を経て開通が関電から発表される。残雪がある程度消える初夏から整備が始まる関係上、開通するのは例年9月下旬頃である。11月に入ると凍結や積雪が始まることから1年の中で通行可能なのは秋の1~2ヶ月に限られる。残雪が多い時は整備が追いつかず開通しないことがある。
下ノ廊下は、上記の背景と多くの人々により歩行できることを感謝したい。
(写真をクリックすると拡大されます)
By もりもりJP