2023年7月26日~29日
北アルプスの折立から薬師岳、越中沢岳、五色ヶ原、浄土山、室堂と、テント泊3泊4日の行程で縦走しました。昨年も計画したものの天候不良のために行けなかったコースですが、今回は天候に恵まれて、暑すぎる好天の中、予定どおりに歩くことができました。
ちょうど40年前に逆コースで縦走しましたが、その時の印象以上に大変でした。年齢を重ねたので当然ですが。
Tさんとの二人パーティです。
7月26日(1日目)
前日は昼頃に滋賀をJRで出発、富山駅周辺に宿泊し、早朝富山駅から直通バスで折立に向かいました。
折立から太郎平まで、最初は急登ですが、次第になだらかになります。以前は登山者がいろんな所を歩いて裸地が広がったようですが、今は登山道を狭く指定して、両側は緑地の復元を図っています。
ニッコウキスゲの群落がありました。最近はシカの食害のひどい所ではニッコウキスゲが減っていますが、まだここにはシカは来ていないようです。富山ではゼンテイカと言われると聞いたことがあります。
薬師岳が見えてきました。天候は大丈夫のようです。
太郎平小屋到着、生ビールで乾杯、ジョッキは小屋のオリジナルです。アルコールに強くない私でも、あっという間に飲んでしまいました。
小屋から20分ほどでテント場です。ここから薬師岳に往復したり、周辺を散策する人も多いようで、今回のテント場の中では一番にぎわっていました。
テント場で滋賀山友会と書かれたテントを発見。私たちと全く同じの日程で縦走されるということで、懐かしいメンバーとお会いして盛り上がりました。
水場の蛇口は壊れていましたが、ホースから勢いよく水は出ていました。
7月27日(2日目)
翌朝、日の出とともに出発、薬師岳に向かいます。すぐに薬師平で、お花畑の向こうに槍ヶ岳が見えます。
薬師岳の頂上が近づいてきました。
薬師岳2926mに到着。
頂上から北に薬師岳のカール(氷河の侵食作用によりできた半椀状の地形)が見えます。国の特別天然記念物「薬師岳圏谷群」に指定されています。
頂上からはすっきりとした展望が得られます。立山(右)と剱岳(左奥)です。
槍ヶ岳から穂高の稜線です。
薬師を越え、北薬師岳から薬師岳を振りかえります。
北薬師岳を北に下って黒部側の東斜面を見ます。薬師岳は「北アルプスの貴婦人」と言われますが、黒部側は荒々しい姿をしています。
薬師岳は「花の百名山」に選ばれていて、今回のゴールの室堂に至るまでお花畑が続きます。私が分かるのはよくあるチングルマや大きなニッコウキスゲ、クルマユリなどで、小さな白や黄色の花はほとんど区別がつきません。同行のTさんに教えてもらいましたが、ほとんど、右の耳から左の耳に抜けていきました。
はるか下には黒部川が流れています。遠くからでもエメラルドグリーンが分かります。
急斜面で歩きにくい樹林帯を下ると、スゴ乗越小屋のテント場です。ここまで縦走する人は比較的少ないので、空いています。
7月28日(3日目)
今日も快晴で、辿ってきた薬師岳を振りかえります。ここからは北薬師岳の方が高く見えます。赤い屋根のスゴ乗越小屋も見えます。
このコースでいつも立派に見えているのは、黒部川の向こうにそびえている赤牛岳(2864m)です。すぐ右に100m以上高い水晶岳がありますが、赤牛岳の方が目立ちます。
スゴ乗越を越え、スゴの頭から越中沢岳が今回のコースでも一番大変でした。岩場も現れます。
スゴの頭は、滋賀山友会のメンバーと滋賀労山で独占しました。見えるのは越中沢岳です。
奇麗な形の笠ヶ岳(左)と黒部五郎岳です。黒部五郎岳カールの残雪が見えます。
これが越中沢岳の頂上と願って登ります。
面白い岩がありました。
見えていたピークに着くと、やっぱり奥に頂上が見えました。がっくり来ましたが、若い頃に上高地で年配の方に教えてもらった「急がず、登らず」という言葉を唱えながら、ゆっくりと歩きます。雨よりはましでしょうが、快晴で風もそんなになく、暑かったです。
急斜面の所もありましたが、この歳になれば、こんな所は下るより登る方が楽です
時間をかけて越中沢岳に到着、右の立山雄山と左奥に剱岳が現れました。間の平坦なところが五色ヶ原です。
越中沢岳から先は新しい赤ペンキマークが目立ちました。お花畑に入らないためや安全のための最低限のマークは必要と思いますが、こんなにたくさんマークを付けるのは行き過ぎと私は思います。
今日最後のピーク鳶山に到着。赤い屋根の五色ヶ原山荘がもうすぐです。テント場は右の方、また池塘も見えます。
振りかえると西側からガスが上がってきました。
五色ヶ原のテント場は周りが開けていて、気持ちの良い所です。手前の方は自然回復のために養生中です。
ここの水場の源流は雪渓の水です。小屋で買ったビールをさらに冷やします。そのままでは飲まないように注意書きがありましたが、今回は浄水器を持ってきたので使いました。
テントを張り終わってからしばらくして、パラパラと雨が。そのうち雷が聞こえ、ピカッからゴロゴロまで数秒の時もありました。
7月29日(4日目)
夜明け前、右のきれいなピークが針ノ木岳でよく目立ちます。左側に爺ヶ岳方向の稜線が見えます。
今回初めての御来光です。
ザラ峠から、これから登る獅子岳です。これもひたすら登るしかないです。
久しぶりにクロユリを見ました。真っ黒よりも紫がかっています。大きさはクルマユリやササユリに比べると小さいです。
クロユリの花言葉は「恋」。「黒百合は恋の花 愛する人に捧げれば 二人はいつかは・・・」 1953年に大ヒットしたらしいこの曲を知っている人も、少なくなっているでしょう。
黒百合のもう一つの花言葉は「呪い」。戦国武将の佐々成政内蔵助の側室が殺されたとき、「3年たって立山に黒い百合が咲いたとき、佐々家は滅びる」という言葉を残し、そのとおりになったことからです。佐々成政は徳川家康に会うために厳冬期の立山を越えたと言われますが、そのルートの可能性の一つであるザラ峠を先ほど通ったばかりで、伝説どおりクロユリが咲いていました。
獅子岳に到着、ゴールはもうすぐで、薬師岳を振りかえります。よく歩きました。
この辺はクルマユリが多く咲いていました。
鬼岳付近から雪渓が現れます。きれいにカットされているので、歩きやすかったです。
鬼岳と龍王岳の間で母親のライチョウが現れました。私たちの行く手をさえぎるように、茂みから登山道の真ん中に出てきました。全く人を恐れません。
子供も茂みから出てきました。雛はこの時期、頭がモヒカン刈りのようになっています。
この付近はライチョウが多い所らしく、龍王岳付近でも母親と雛を見ました。
龍王岳付近で、右から立山雄山、真砂岳、別山、その奥に剣が見えます。一の越山荘も見えています。
最後の浄土山は立山三山の一つなのですが、平らなピークらしきもの以外、標識や祠など目立つものはありませんでした。
浄土山から急斜面を降りて、ようやく室堂のバスターミナルが見えました。
4日間のテント泊縦走は5年ぶりでしたが、良すぎる天気で暑い中、4日間よく歩きました。高低差からいえば室堂から薬師方面に歩く方が楽ですが、高齢者になると、下りの急斜面の少ない今回の方が安全のように思います。
だいぶ標準タイムをオーバーしましたが、ゆっくり歩けば何とかなりそうで、もう少しテント泊縦走を続けてみたいと思いました。
同行のTさんから、花の写真をたくさんいただきました。
前日は昼頃に滋賀をJRで出発、富山駅周辺に宿泊し、早朝富山駅から直通バスで折立に向かいました。
折立から太郎平まで、最初は急登ですが、次第になだらかになります。以前は登山者がいろんな所を歩いて裸地が広がったようですが、今は登山道を狭く指定して、両側は緑地の復元を図っています。
ニッコウキスゲの群落がありました。最近はシカの食害のひどい所ではニッコウキスゲが減っていますが、まだここにはシカは来ていないようです。富山ではゼンテイカと言われると聞いたことがあります。
薬師岳が見えてきました。天候は大丈夫のようです。
太郎平小屋到着、生ビールで乾杯、ジョッキは小屋のオリジナルです。アルコールに強くない私でも、あっという間に飲んでしまいました。
小屋から20分ほどでテント場です。ここから薬師岳に往復したり、周辺を散策する人も多いようで、今回のテント場の中では一番にぎわっていました。
テント場で滋賀山友会と書かれたテントを発見。私たちと全く同じの日程で縦走されるということで、懐かしいメンバーとお会いして盛り上がりました。
水場の蛇口は壊れていましたが、ホースから勢いよく水は出ていました。
7月27日(2日目)
翌朝、日の出とともに出発、薬師岳に向かいます。すぐに薬師平で、お花畑の向こうに槍ヶ岳が見えます。
薬師岳の頂上が近づいてきました。
薬師岳2926mに到着。
頂上から北に薬師岳のカール(氷河の侵食作用によりできた半椀状の地形)が見えます。国の特別天然記念物「薬師岳圏谷群」に指定されています。
頂上からはすっきりとした展望が得られます。立山(右)と剱岳(左奥)です。
槍ヶ岳から穂高の稜線です。
薬師を越え、北薬師岳から薬師岳を振りかえります。
北薬師岳を北に下って黒部側の東斜面を見ます。薬師岳は「北アルプスの貴婦人」と言われますが、黒部側は荒々しい姿をしています。
薬師岳は「花の百名山」に選ばれていて、今回のゴールの室堂に至るまでお花畑が続きます。私が分かるのはよくあるチングルマや大きなニッコウキスゲ、クルマユリなどで、小さな白や黄色の花はほとんど区別がつきません。同行のTさんに教えてもらいましたが、ほとんど、右の耳から左の耳に抜けていきました。
はるか下には黒部川が流れています。遠くからでもエメラルドグリーンが分かります。
急斜面で歩きにくい樹林帯を下ると、スゴ乗越小屋のテント場です。ここまで縦走する人は比較的少ないので、空いています。
7月28日(3日目)
今日も快晴で、辿ってきた薬師岳を振りかえります。ここからは北薬師岳の方が高く見えます。赤い屋根のスゴ乗越小屋も見えます。
このコースでいつも立派に見えているのは、黒部川の向こうにそびえている赤牛岳(2864m)です。すぐ右に100m以上高い水晶岳がありますが、赤牛岳の方が目立ちます。
スゴ乗越を越え、スゴの頭から越中沢岳が今回のコースでも一番大変でした。岩場も現れます。
スゴの頭は、滋賀山友会のメンバーと滋賀労山で独占しました。見えるのは越中沢岳です。
奇麗な形の笠ヶ岳(左)と黒部五郎岳です。黒部五郎岳カールの残雪が見えます。
これが越中沢岳の頂上と願って登ります。
面白い岩がありました。
見えていたピークに着くと、やっぱり奥に頂上が見えました。がっくり来ましたが、若い頃に上高地で年配の方に教えてもらった「急がず、登らず」という言葉を唱えながら、ゆっくりと歩きます。雨よりはましでしょうが、快晴で風もそんなになく、暑かったです。
急斜面の所もありましたが、この歳になれば、こんな所は下るより登る方が楽です
時間をかけて越中沢岳に到着、右の立山雄山と左奥に剱岳が現れました。間の平坦なところが五色ヶ原です。
越中沢岳から先は新しい赤ペンキマークが目立ちました。お花畑に入らないためや安全のための最低限のマークは必要と思いますが、こんなにたくさんマークを付けるのは行き過ぎと私は思います。
今日最後のピーク鳶山に到着。赤い屋根の五色ヶ原山荘がもうすぐです。テント場は右の方、また池塘も見えます。
振りかえると西側からガスが上がってきました。
五色ヶ原のテント場は周りが開けていて、気持ちの良い所です。手前の方は自然回復のために養生中です。
ここの水場の源流は雪渓の水です。小屋で買ったビールをさらに冷やします。そのままでは飲まないように注意書きがありましたが、今回は浄水器を持ってきたので使いました。
テントを張り終わってからしばらくして、パラパラと雨が。そのうち雷が聞こえ、ピカッからゴロゴロまで数秒の時もありました。
7月29日(4日目)
夜明け前、右のきれいなピークが針ノ木岳でよく目立ちます。左側に爺ヶ岳方向の稜線が見えます。
今回初めての御来光です。
ザラ峠から、これから登る獅子岳です。これもひたすら登るしかないです。
久しぶりにクロユリを見ました。真っ黒よりも紫がかっています。大きさはクルマユリやササユリに比べると小さいです。
クロユリの花言葉は「恋」。「黒百合は恋の花 愛する人に捧げれば 二人はいつかは・・・」 1953年に大ヒットしたらしいこの曲を知っている人も、少なくなっているでしょう。
黒百合のもう一つの花言葉は「呪い」。戦国武将の佐々成政内蔵助の側室が殺されたとき、「3年たって立山に黒い百合が咲いたとき、佐々家は滅びる」という言葉を残し、そのとおりになったことからです。佐々成政は徳川家康に会うために厳冬期の立山を越えたと言われますが、そのルートの可能性の一つであるザラ峠を先ほど通ったばかりで、伝説どおりクロユリが咲いていました。
獅子岳に到着、ゴールはもうすぐで、薬師岳を振りかえります。よく歩きました。
この辺はクルマユリが多く咲いていました。
鬼岳付近から雪渓が現れます。きれいにカットされているので、歩きやすかったです。
鬼岳と龍王岳の間で母親のライチョウが現れました。私たちの行く手をさえぎるように、茂みから登山道の真ん中に出てきました。全く人を恐れません。
子供も茂みから出てきました。雛はこの時期、頭がモヒカン刈りのようになっています。
この付近はライチョウが多い所らしく、龍王岳付近でも母親と雛を見ました。
龍王岳付近で、右から立山雄山、真砂岳、別山、その奥に剣が見えます。一の越山荘も見えています。
最後の浄土山は立山三山の一つなのですが、平らなピークらしきもの以外、標識や祠など目立つものはありませんでした。
浄土山から急斜面を降りて、ようやく室堂のバスターミナルが見えました。
4日間のテント泊縦走は5年ぶりでしたが、良すぎる天気で暑い中、4日間よく歩きました。高低差からいえば室堂から薬師方面に歩く方が楽ですが、高齢者になると、下りの急斜面の少ない今回の方が安全のように思います。
だいぶ標準タイムをオーバーしましたが、ゆっくり歩けば何とかなりそうで、もう少しテント泊縦走を続けてみたいと思いました。
同行のTさんから、花の写真をたくさんいただきました。