新型コロナのために自宅にいる時間が増えましたが、そのおかげでこれまでの写真を整理することができました。ライチョウの写真も思っていたよりありましたので、まとめてみました。
日本のライチョウは人をおそれません。最近の人馴れしたシカやサルは別にして、野生動物は人を見たらすぐに逃げてしまいますが、ライチョウは数mまで近づいても逃げることはなく、近距離で写真が撮れる珍しい野生動物です。
剱の北方稜線の7月18日の写真です。上の方に母鳥が1羽、分かりにくいですが下の岩陰に雛鳥が2羽います。ちょうどよい足場に雛鳥がいたため、トップを歩くリーダーは、危うく踏んでしまうところでした。
こちらは5人以上いましたが、全く逃げることはありません。
古くからの山岳信仰と結びついて、高山でも最も高い所に棲むライチョウは「神の鳥」して大事にされてきたため、人を恐れなくなったようです。外国にもライチョウはいますが、狩猟鳥のために人を恐れるそうで、外国から来た人は、逃げないライチョウに大変感動するそうです。
母鳥は一度上の方に行きました。
母鳥が雛の近くに戻ってくると、雛も母鳥の近くに寄ってきました。
雛鳥は4羽いるようです。母鳥の下に見える1羽は下に潜り込もうとしているのでしょうか。この時期、母鳥は体温調整をうまくできない雛をお腹の下で温めます。
これは別の年の7月28日、剱の別山尾根。雛もだいぶ大きくなっています。
ここに他の雛がいたか分かりませんが、一般的に最初6~7羽いた雛は、孵化して1ヶ月で半分ほどになり、親から独立する9月末には孵化した2割から3割くらいしか生き残れないそうです。私たちにとってはかわいらしいオコジョも雛の天敵で、自然は厳しいです。
8月20日、南アルプス荒川前岳から荒川小屋に降りる途中のお花畑です。雛も大きくなって母親との区別がつきにくくなっています。母親と子供3羽のようです。
父親は孵化から子育てまで全く母親に任せきりで、一人ぶらぶらしているということです。
母鳥が何かをついばんでいるようです。ライチョウが食べるくらいは知れているでしょうが、最近は高山帯にもシカが入り込んでいて、お花畑を食べつくしています。以前はこんなところにシカは考えられなかったですが、ここから数分降りた所にも高山植物保護のために防鹿柵が設置されていました。
10月9日、南アルプス北岳肩の小屋から降りた所です。雛も一人前になったようで、大きさも親と変わらないようです。
冬に向かって、白い羽が増えているようです。冬に備えてでしょうか、大変太っているように思います。
足には調査用の赤い環が付けられています。北岳山荘付近では、雛をケージに入れて保護ずるなどの活動がされています。
冬を越し、ゴーデンウイーク5月4日の八方尾根、唐松山荘のすぐ手前、登山道の傍らのハイマツの中にいました。数mの近くに登山者が5人ほど取り囲んでいますが、全く逃げようとはしません。
この時期、黄褐色が混じっているのは雌のようです。
翌日、唐松小屋からすぐの北の稜線を歩いていると、2羽のライチョウが登山道を歩いていました。
羽の色からすると前が雌、後ろが雄のようで、私たちを先導するように歩いていきます。
雄は高い岩の上に乗って自分の縄張りを主張します。ライチョウは一夫一妻が普通で、他の雄が縄張りに侵入すると、私たちが目にするおとなしい姿とは異なり、空中戦も含めて激しい戦いをするそうです。
繁殖期で雄は目の上に真っ赤な肉冠が立っています。尾も普段より立っているようです。
雪上を雄が雌を追いかけています。
アップにすると雄(左)と雌(右)で羽の色の違いが分かります。
繁殖期には活動が活発になるのか、ライチョウに会える機会が多いようです。特に八方尾根では、5月のゴールデンウイークは、ネットで多くのライチョウの記録があります。
やはりゴールデンウイーク4月30日の立山雷鳥沢付近で。足に緑の環が付けられています。雄のようですが、パートナーガいないのでしょうか、どこか寂しげな感じです。
これも5月5日の南アルプス仙丈ヶ岳、雄が勢いよく斜面を駆け上がっています。
ライチョウも生息数が減少しており、絶滅が心配されています。中央アルプスでは既に絶滅したということです。
以前はもっと低い所に棲んでいたシカやサル,キツネ、カラスなどの野生動物が高山にまで侵入するようになって、直接的、間接的にライチョウを脅かしています。サルがライチョウの雛をくわえているショッキングな写真もあります。ライチョウを襲う鳥類も増えてきているようです。
これに地球温暖化も加わりますが、動物の生息域の変化は、意図しなかったことにせよ、人間の活動が引き起こしたことには間違いはないでしょう。
単に動物を大事にすればよいという問題ではないようで、身近なシカの食害と同様、人間と野生動物がどう住み分けるかという大きく難しい問題があるようです。
最後に、ライチョウの研究者で保護活動をされている中村浩志氏が、ライチョウ復活の報道番組で言われていたことが印象的だったので、紹介します。
「日本の自然環境が守られてきたのは積極的に自然に手を加えてきたから。
野生動物は人が手を加えず、そっとしておくことが自然保護だという、これほど間違った自然保護の考え方はありません。
その問題を解決しない限り、高山のライチョウは守れません。」
剱の北方稜線の7月18日の写真です。上の方に母鳥が1羽、分かりにくいですが下の岩陰に雛鳥が2羽います。ちょうどよい足場に雛鳥がいたため、トップを歩くリーダーは、危うく踏んでしまうところでした。
こちらは5人以上いましたが、全く逃げることはありません。
古くからの山岳信仰と結びついて、高山でも最も高い所に棲むライチョウは「神の鳥」して大事にされてきたため、人を恐れなくなったようです。外国にもライチョウはいますが、狩猟鳥のために人を恐れるそうで、外国から来た人は、逃げないライチョウに大変感動するそうです。
母鳥は一度上の方に行きました。
母鳥が雛の近くに戻ってくると、雛も母鳥の近くに寄ってきました。
雛鳥は4羽いるようです。母鳥の下に見える1羽は下に潜り込もうとしているのでしょうか。この時期、母鳥は体温調整をうまくできない雛をお腹の下で温めます。
これは別の年の7月28日、剱の別山尾根。雛もだいぶ大きくなっています。
ここに他の雛がいたか分かりませんが、一般的に最初6~7羽いた雛は、孵化して1ヶ月で半分ほどになり、親から独立する9月末には孵化した2割から3割くらいしか生き残れないそうです。私たちにとってはかわいらしいオコジョも雛の天敵で、自然は厳しいです。
8月20日、南アルプス荒川前岳から荒川小屋に降りる途中のお花畑です。雛も大きくなって母親との区別がつきにくくなっています。母親と子供3羽のようです。
父親は孵化から子育てまで全く母親に任せきりで、一人ぶらぶらしているということです。
母鳥が何かをついばんでいるようです。ライチョウが食べるくらいは知れているでしょうが、最近は高山帯にもシカが入り込んでいて、お花畑を食べつくしています。以前はこんなところにシカは考えられなかったですが、ここから数分降りた所にも高山植物保護のために防鹿柵が設置されていました。
10月9日、南アルプス北岳肩の小屋から降りた所です。雛も一人前になったようで、大きさも親と変わらないようです。
冬に向かって、白い羽が増えているようです。冬に備えてでしょうか、大変太っているように思います。
足には調査用の赤い環が付けられています。北岳山荘付近では、雛をケージに入れて保護ずるなどの活動がされています。
冬を越し、ゴーデンウイーク5月4日の八方尾根、唐松山荘のすぐ手前、登山道の傍らのハイマツの中にいました。数mの近くに登山者が5人ほど取り囲んでいますが、全く逃げようとはしません。
この時期、黄褐色が混じっているのは雌のようです。
翌日、唐松小屋からすぐの北の稜線を歩いていると、2羽のライチョウが登山道を歩いていました。
羽の色からすると前が雌、後ろが雄のようで、私たちを先導するように歩いていきます。
雄は高い岩の上に乗って自分の縄張りを主張します。ライチョウは一夫一妻が普通で、他の雄が縄張りに侵入すると、私たちが目にするおとなしい姿とは異なり、空中戦も含めて激しい戦いをするそうです。
繁殖期で雄は目の上に真っ赤な肉冠が立っています。尾も普段より立っているようです。
雪上を雄が雌を追いかけています。
アップにすると雄(左)と雌(右)で羽の色の違いが分かります。
繁殖期には活動が活発になるのか、ライチョウに会える機会が多いようです。特に八方尾根では、5月のゴールデンウイークは、ネットで多くのライチョウの記録があります。
やはりゴールデンウイーク4月30日の立山雷鳥沢付近で。足に緑の環が付けられています。雄のようですが、パートナーガいないのでしょうか、どこか寂しげな感じです。
これも5月5日の南アルプス仙丈ヶ岳、雄が勢いよく斜面を駆け上がっています。
ライチョウも生息数が減少しており、絶滅が心配されています。中央アルプスでは既に絶滅したということです。
以前はもっと低い所に棲んでいたシカやサル,キツネ、カラスなどの野生動物が高山にまで侵入するようになって、直接的、間接的にライチョウを脅かしています。サルがライチョウの雛をくわえているショッキングな写真もあります。ライチョウを襲う鳥類も増えてきているようです。
これに地球温暖化も加わりますが、動物の生息域の変化は、意図しなかったことにせよ、人間の活動が引き起こしたことには間違いはないでしょう。
単に動物を大事にすればよいという問題ではないようで、身近なシカの食害と同様、人間と野生動物がどう住み分けるかという大きく難しい問題があるようです。
最後に、ライチョウの研究者で保護活動をされている中村浩志氏が、ライチョウ復活の報道番組で言われていたことが印象的だったので、紹介します。
「日本の自然環境が守られてきたのは積極的に自然に手を加えてきたから。
野生動物は人が手を加えず、そっとしておくことが自然保護だという、これほど間違った自然保護の考え方はありません。
その問題を解決しない限り、高山のライチョウは守れません。」
K3号